音楽に於ける実践的リズム解釈(1)

 音の長さを定規(メジャー)の様にとらえる。 

音楽においては、音の開始点が知覚されやすいので、時間軸における点を主として音の開始点で示す。音の開始点から次の音の開始点までの長さを、順次いくつか均等に並べたものが、音楽におけるリズムである。

これを距離(定規)に置き替えると視覚的にも認識できる。

ここで問題になるのが、人の耳は音の開始には敏感だが、音の終了地点が曖昧に成ることである。一つの音を表現した後、次の音の準備時間や、音が残響することによって音の終了がはっきりと理解し得ない事、人間の聴覚に残像効果がある(音が鳴りやんでもまだしばらく音が続いているように感じる)ことにもよるであろう。

したがって、音の開始は時間軸の点を示すのが容易であるが、音の終了の共通の点を示すことは困難である。それゆえ一般的には開始音から、次の音の認識までを音の長さに応じて、その間隔の認識でリズムを考える事になる。このとき、音の開始点の時間間隔だけでなく、音の強さや音が実際に終了するまでの時間によって、リズムの感じ方が変わってくる。

 等しい間隔で打たれる基本的なリズムを、拍節と言い、そのひとつひとつの時間単位を拍という。拍は、一般に、人間の歩行の一歩一歩に擬せられる。拍は実際に常に音によって示されなければならないわけでなく、しばしば概念化して、音によって示されなくても拍を感じることができることがある。

拍の周期の長短によって、音楽の速度を感じる。これをテンポという。拍に重軽が生じ、原則としてそれが一定のパターンで周期的に繰り返されるとき、拍子とテンポが融合されるのである。

 様々な民族の音楽の中では、リズムを持たないものはおそらくほとんど存在しないと思われるが、リズムの現れ方は民族や音楽のタイプによって様々である。西洋音楽や多くの民族音楽にあっては、リズムは拍子の上に作られる。この場合、拍を結合したり、拍を等分したり、等分した拍をさらに結合したりして、リズムを作成する。

 一方拍や拍子のない音楽は、世界各地に見られる。

これを自由リズムと呼ぶことがあるが、ここではあえて取り上げない事とする。

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